ラカのヘイアウは山の中腹にある

フラと神話をテーマに考えた時、忘れられない聖地が一つ、カウアイ島に存在します。北海岸のハエナにあるヘイアウ、ケ・アフ・ア・ラカ(別名カ・ウル・オ・ラカ)がその場所です。

ヘイアウとは古代の神殿で、戦いの神や豊穣、癒しの神のために建てられたものなど、昔はさまざまな目的のヘイアウが点在していました。そんな中、ハエナのケ・アフ・ア・ラカは、フラの女神ラカに捧げられた特殊なヘイアウ。フラとチャントの修行場でもあり、フラダンサーにとっては大変な聖域だったのです。

ケ・アフ・ア・ラカは、いくつかの神話の舞台にもなっています。その一つが、前回「パウオヒイアカのおとぎ話」で触れたヒイアカの冒険物語。ヒイアカが姉のペレの命令でカウアイ島の酋長ロヒアウを迎えに行く物語の冒頭、ペレは夢の中でロヒアウに出会い、恋に落ちました。その出会いの場所が、ケ・アフ・ア・ラカだったのです。

左手の崖下にはすぐ海が広がる

ロヒアウはその時、ヘイアウで賑やかな宴を催していて、太鼓や鼻笛の音に引かれたペレの魂が、ヘイアウにたどり着いたのでした。

このヘイアウはまた、ナウパカの花の悲恋物語にも登場しています。半円形で、2つ合わせてやっと円になるナウパカの花は、引き裂かれた恋人達の化身とか。カウアイ島のフラ学校で厳しい修行の最中だった男女がタブーを犯して恋仲になり、怒り狂ったクムフラに追われて命を落としました。やがて二人は海と山でそれぞれ半円の花になった…という伝説の舞台のフラ学校が、ほかならぬケ・アフ・ア・ラカなのでした。

悲恋物語が残るナウパカの花

ケ・アフ・ア・ラカのあるハエナの地には、空港のあるリフエから車で約1時間半。ほかにも神話・伝説ゆかりの史跡が点在するハエナは、フラダンサー必見の土地といえるでしょう。

 

ライタープロフィール
プロフィール: 森出じゅん
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年にハワイに移住し、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。2012年より、ハワイ州観光局ハワイアンカルチャー委員会委員。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex