クアロア沖の小島チャイナマンズハットは女神ヒイアカが退治したモオの尻尾とか

「ハワイで神聖視されるホヌの話」の回では、神格化されたホヌについて触れました。ハワイにはホヌをはじめ動物の姿を借りた守り神の話が多々残り、フラにも反映されています。フラ・アウマクアとも呼ばれる動物のフラを得意とするハーラウもありますし、メリー・モナークでも過去、ホヌや鮫、フクロウなどが登場するカヒコが踊られていますね。

動物の姿をした守り神(アウマクア)の種類は実に多いですが、中でもユニークな存在がモオでしょう。モオは体長10メートルにもなるという神話上の大とかげ。ハワイ各地にモオ伝説が残り、モオをハワイのドラゴンと呼ぶ人もいます。

各地の池や沼地、養魚池、川、滝壺など水辺を守り、陣地を通過する者は、神すら襲う。モオをそんな恐ろしいドラゴンとして描く神話もあれば、偉大な神や水の精など、神聖な存在とされるモオも。たとえば「ライエイカヴァイ」や「ケアロメレメレ」といったフラソングで知られる神話にも、王族や神の子供を守る養母、乳母としてモオが登場します。

ハワイ島レインボー滝にもモオ神話が残る

不思議なのは、大型の爬虫類が生息せず、せいぜい手の平サイズのトカゲしかいないハワイで、なぜモオ神話が語り継がれているのかということです。…それについては諸説があり、まず昔々、ハワイアンが遠い山並みを眺めて、巨大なドラゴンのような動物を空想したのでは、というもの。

または遠い祖先の記憶に残る爬虫類が、神話として残ったのではという説も。ハワイアンの祖先はマレーシアやインドネシア周辺からポリネシアに入ったとされており、そこにはワニやコモドドラゴンなどがいたわけです。それがポリネシア移住までに人々の記憶の中に神話上のキャラクターとして定着したのではないか、という説も有力です。

いずれにしろ、モオが万人の空想を掻き立てる気になる存在なのは確かですね。

 

ライタープロフィール
プロフィール: 森出じゅん
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年にハワイに移住し、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。2012年より、ハワイ州観光局ハワイアンカルチャー委員会委員。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex