展望台からワイピオ渓谷を臨んだところ

ハワイ島ワイピオ渓谷といえば、14世紀の大酋長リロアをはじめ多数の王が暮らした、大変歴史深い地域です。カメハメハ大王が幼少期を過ごした場所としても知られます。

そんな理由からワイピオ渓谷はフラの主題としてたびたび取りあげられ、今年のメリー・モナークでハーラウ・マナオラとハーラウ・フラ・オ・カヒキラウラニが踊ったカヒコも、ワイピオ渓谷が舞台でした。

古い歴史を持つ土地の習いとして、ワイピオ渓谷は神話・伝説の宝庫でもあります。そもそも渓谷上部の土が赤いのは、カナロア神が半神半人マウイを渓谷に投げ入れた時に出血したためとか。

 
 

双璧に挟まれた渓谷は「王の渓谷」とも呼ばれる

また名フラソング「ヒイラヴェ」でお馴染みのヒイラヴェの滝の名も、実は「ラウカイエイエ」の神話にちなんだもの。ヒイラヴェはワイピオ渓谷で生まれたイエイエ(蔓の一種)の精、ラウカイエイエの従兄でした。ヒイラヴェは早逝し、身体は石に、魂は滝から生じる霧になりました。その滝が後に、ヒイラヴェと呼ばれるようになったのでした。

 
 
 

ワイピオ渓谷の象徴、ヒイラヴェの滝

ちなみに前述したハーラウ・マナオラのカヒコ「ア・コアエケア・イ・プエオフルヌイ」にも、恐ろしい鮫の神マカウキウや、神クーと女神ヒナの娘ハイナコロのロマンスなど、ワイピオ渓谷の神話がいくつか登場しています。

なおワイピオにはあの世の入口があるとの伝説もあり、実際に数多くの王族が渓谷に埋葬されているとか。かつてハワイ島の政治の中心だった渓谷の住民は今、100人程度に減っていますが、ハワイアンにとってワイピオ渓谷が大変な聖地である事実は、今も昔も変わりありません。

 

ライタープロフィール
プロフィール: 森出じゅん
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年にハワイに移住し、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。2012年より、ハワイ州観光局ハワイアンカルチャー委員会委員。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex